基本方針

本コースは、大気物理学、海洋物理学、気候力学、大気・海洋相互作用、大気・海洋・海氷相互作用を専門とする 18名の教員を中心に構成されています(§9参照)。 この内、数名は他専攻もしくは他コースと兼務ですが、コースの教育にはコース専任の教員と同じように参加します。従来の多くの教育研究機関では、大気と海洋はそれぞれ別々に研究と教育がなされ、学会等も別々ですが、力学的基盤(両者とも回転球面上の成層流体である)も研究手法(理論手法、データ解析法、数値計算法)も共通しており、さらに、我々の世界の全体像を捉えるには大気と海洋を分けることは出来ません。本コースでは、大気と海洋の物理学およびそれらを基礎とする気候変動・変化の力学全体の理解を目指して、これらの教員が協力し合い、整合した教育を展開します。


本コースでは、他分野からの入学者が多いことを踏まえ、出発点においては物理学と数学の基礎知識のみを前提とし、それ以外の部分は講義や演習を通じて教育します。カリキュラムは、全体として必要な共通の基礎と、概論的な知識から専門的な事柄へと進みます。基礎が正しく理解できていれば、一見異なる多くの事柄を同様に考えることが可能となります。研究を行うには狭い範囲に対する深い理解と知識が必要ですが、これらの講義を通じて、このコースの他の学生や教員と広く、ある程度以上の専門的な会話ができるようになることが期待されています。会話が可能であるというのは相互作用の要件であり、 一見異なるものの中に関連性を見つけていくことが多くの場合学問の発展に繋がります。大気海洋物理学・気候力学コースという多くの教員・学生を有するグループの一員であるという意識を持って、多数の教員・学生と広く相互作用しながら実り多い学生生活を送っていくことを期待しています。また、このような高い専門性と共通理解に基づく会話可能な広い裾野構造はこの専攻の基調でもあり、所属コースの専門性とコースを越えた広い分野に関心を持つことが望まれます。後者の助けとして、4つの基礎論の講義が開講されます。


本コースは2004年度までの大学院地球環境科学研究科大気海洋圏環境科学専攻物理系の教育システムを引き継ぐものではありますが、本コースとしては、皆さんが 第17期生です。 学生の皆さんはこのコースの雰囲気やシステムを形作っていく上での重要なメンバーです。このコースがより良いものとなるよう、ご協力をお願いします。