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第 54 回 大気海洋圏物理系セミナー のおしらせ
日 時:1998年 11月 12日(木) 午前 9:30 〜 12:00
場 所:低温科学研究所 2F 大講義室
発表者:藤井 賢彦 (気候モデリング講座 DC1)
題 目:簡略化海洋循環モデルを用いた、海洋炭素循環における生物生産の役割の定量的評価
発表者:初鹿 宏壮 (気候モデリング講座 DC2)
題 目:対流圏界面の季節変動について
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簡略化海洋循環モデルを用いた、海洋炭素循環における生物生産の役割の定量的評価 (藤井 賢彦) 発表要旨:
海洋の炭素貯蔵量及び鉛直フラックスは、大気のそれらとは異なり、見積も りは定量的に不確定なのが現状である。そして、このことが全球的な炭素循環 過程を正確に把握する上での大きな妨げとなっている。その原因として、海洋 内部の観測は時間的・空間的にまばらであること、また広範囲にわたる高頻度 かつ良質なデータ取得が困難なことなどが挙げられる。そのため、従来の観測 による研究と並行して、モデリングによる海洋炭素循環に関する研究も多数行 なわれてきた。 修論まででは重要な簡略モデルの1つであるHIgh-Latitude exchange/interior Diffusion-Advection(HILDA;Siegenthaler and Joos[1992],Shaffer and Sarmiento[1995]など)に改良を加えたYOked-high Latitude exchange/interior Diffusion-Advection(YOLDA)を用いて各大洋に おける鉛直方向の炭素フラックスを過程毎に求めた。だが、モデルの結果は特 に大西洋で観測値と幾分異なるものとなった。このうちのかなりの部分は従来 の簡略モデルでは表現されてこなかった中層での水平移流の効果を導入するこ とによって解消された。また、修論時には全球で一定とした生物生産性につい ても大洋間で差異を与えたのでその結果も併せて報告する。
対流圏界面の季節変動について (初鹿 宏壮) 発表要旨:
客観解析データを用いた対流圏界面付近の物質輸送を見積もるためにまず,対 流圏界面の変動を調べることが必要である. 今回はHighwood and Hoskins(1998)を参考に,ECMWFの客観解析データを使い圏界面の季節変動を、 特に熱帯域について調べている. 使用したデータは期間が1992年1月から1998 年8月で1日2回,水平成分2.5°×2.5°,鉛直15層である. ゾンデデータに比べ 鉛直方向に粗いデータではあるが,ゾンデ観測がなされていない部分を含め全 体的な変動の傾向を調べるのに良い手段であると考え季節による違いを調べた. 圏界面はWMOの定義に従い,rapse rate tropopause(0.2K/100mが2km以上続く 場所)を使った。鉛直方向の温度の内挿をスプライン関数補間でおこない,圏界 面と温度最低値の気圧,高度,温度,温位,鉛直流速を求めた. また,特に熱帯域 を成層圏への入り口と考え,下部成層圏への流入水蒸気量の最大値を見積もる ため,得られた気圧と温度からWhippleの式を用いて飽和水蒸気混合比を求めた. その結果,低緯度域の圏界面は北半球の冬に高度が高く,温度が低い,夏には高 度が低く,温度が高いという変動がみられ,また,日付変更線付近では冬に馬蹄 型として知られるロスビー波的な上層高気圧の対が西側にみられ,東側には赤 道上を真っ直ぐにのびるケルビン波的なものがみられた.水蒸気混合比につい ては衛星データと近い値となった. 1日2回のデータを使ったことで,月平均値 ではスムージングされてしまい,見ることが出来ないような低い温度,混合比が 得られた.
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