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第299回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 7月20日(木) 9:30 - 12:00
Date : Thu., 20 July 9:30−12:00 
場 所: 環境科学院 D201室
Place : Env. Sci. Bldg. D201

発表者:市川 悠衣子(北海道大学理学院/D3)
Speaker:Yuiko Ichikawa (Graduate School of Science/D3)
題目:マッデン=ジュリアン振動相空間上における予報精度の評価と予測可能性推定
Title:The prediction skill and potential predictability on the Madden-Julian Oscillation phase space
発表者: 照井 健志(国立極地研究所/特任研究員)
Speaker:Takeshi Terui(National Institute of Polar Research/Project Researcher)
題目:オープンサイエンスとデータサイエンス
Title:Open Science and Data Science

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マッデン=ジュリアン振動相空間上における予報精度の評価と予測可能性推定 (市川悠衣子、Yuiko Ichikawa)発表要旨:

セミナーの前半では,マッデン・ジュリアン振動(MJO)相空間上での予報精度 の指標について話す.これまで二変数二乗平均平方誤差(RMSE)と二変数アノ マリ相関係数(ACC)の組み合わせが慣例的に使われてきたが,これらの評価方 法はMJOイベントに関するモデルバイアスを評価できない.それだけでなく, ACCはMJOの振幅に強く依存するので,あるフェーズでMJOのシグナルが減衰 する傾向にあるモデルにおいてACCを使うことは適切ではない.平均誤差 ベクトルはモデルの平均移動速度誤差とRMSEを結びつけることでこの問題を 解決する.ここでは気象庁の一か月予報モデルに適用した結果をまじえて, 上記の検討結果を紹介する. 後半では,潜在的な予測可能性の代替的な推定 手法を提案する.先行研究において広く採用されているアンサンブルスプ レッドを用いた手法は完全モデルの仮定を前提としており,全球気候モデル (GCM)によるMJOの再現が不完全な現状においては信頼できる推定値を与える とは限らない.そこでスプレッドの代わりに,位相空間内における近傍予報 群を対象とした観測値とアンサンブル平均予報の間の相関係数から得られる 不確実性の指標を用いることを提案する.ここで提案する新たな指標は,一つ のGCMだけでなく,複数モデルのアンサンブル平均に対しても算出することが 可能である.ここでは新たな手法の紹介とともに,Subseasonal to seasonal (S2S) prediction projectの一環として収集された三局のGCMによる複数モデル アンサンブル予報に適用した結果について報告する.

オープンサイエンスとデータサイエンス (照井 健志、Takeshi Terui)発表要旨:

第5期科学技術基本計画において、公的資金により実施された研究成果を 誰でも自由に利用可能にし、あらゆる分野の人間が利活用することで、 新たなる知を創出させるオープンサイエンスの推進について記された。 オープンサイエンスの推進に当たり、研究機関や大学において、研究 成果として得られたデータを公開するオープンデータやデータ流通に ついて注目されている。科学技術基本計画では公開されたデータを 利用した解析やデータ駆動科学を推進するための人材育成について 急務であることも記された。産業界においては、2012年のハーバード ビジネスレビューにおいてビックデータが注目され、日本国内の産業界に おいてもデータサイエンティストの育成と採用が盛んに行われている。 国立極地研究所ではオープンサイエンスとデータサイエンスを推進するため、 様々な取り組みを行っている。本セミナーではオープンサイエンスと データサイエンスについて我が国を取り巻く状況と、国立極地研所の取り組み を紹介したい。 

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連絡先

平野 大輔(Daisuke Hirano)
mail-to: hirano@lowtem.hokudai.ac.jp