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第8回 大気海洋物理系 B 棟コロキウムのお知らせ

日 時:1998年 6月 29日(月) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 管理棟 2F 講義室

発表者:藤井 賢彦 (気候モデリング講座 D1)
題 目:物理・生物化学過程を含む鉛直1次元モデルを用いた海洋炭素循環に関する研究

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発表要旨:

修士の段階では、Shaffer & Sarmiento(1995)のHILDA (HIgh-Lat. exchange/interior Diffusion-Advection)と呼ばれる鉛直1次元 モデルで与えられる海域のうち、低緯度域を太平洋+インド洋と大西洋に、高 緯度域を南大洋とGIN(グリーンランド海・アイスランド海・ノルウェー海) に、それぞれ2分したモデル(YOLDA; YOked high-Lat. exchange/interior Diffusion-Advection)を作成した。そしてYOLDAから各海洋トレーサー濃度の 鉛直分布を求め、それらを一様に全炭酸濃度に換算することによって海洋の流 れによって記述される物理過程のみならず、表層での生物活動に伴って生ずる 生物過程及び化学過程の寄与の大きさを見積もり、最終的には表層と中・深層 との間の炭素フラックスを見積もった。しかし、YOLDAで得られた表層の各ト レーサー濃度の値は特に大西洋やGINで認められるように、やや現実にそぐわ ないものとなった。これは熱塩循環の一端を担う表層循環の存在する深度が YOLDAでは一様に50m以浅で与えられており、モデルの値は現実よりも表層水の 影響を過剰に受けているのが原因だと考え、今回は表層の他に深度500m付近に も熱塩循環に連関した水平移流があるようなモデルを作成し、より現実に近い 各トレーサー濃度の鉛直分布を得た。

以上で発表者自身が目指している研究のうち、鉛直1次元モデルを用いたもの に関しては一応の完結をみたものと考えている。今回の発表では今後の展望に ついてもお話しする予定である。

※ 次週 7/6(月)は,荒井(気候モデリング D2)の予定.

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連絡先

岡田直資 / 谷口 博 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻気候モデリング講座

mail-to:taniro@ees.hokudai.ac.jp / Tel : 011-706-2372