****************************************************************************************************************
第 35 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:1999年 7月 14日(水) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A
発表者:伊藤 頼 (大循環力学講座 D1)
題 目:レンズ渦の南下
****************************************************************************************************************
レンズ渦の南下 (伊藤 頼) 発表要旨 :
海洋中には様々な渦が存在する。黒潮やGulf Streamから切離して生成した100km スケールの渦や、ジブラルタル海峡から流出してきた地中海水を起源とする北大 西洋中層のMeddyと呼ばれる20-30kmの渦が存在している。特にMeddyは強い南下 傾向を持つことで知られている。 このような高気圧性渦の南下傾向に関して、渦の上下層のポテンシャル渦度のア ノマリが寄与している可能性が、Morel&McWilliams (1997)、Sutyrin&Morel (1997)の研究で検討されてきた。 修論では、2.5層β平面プリミティブモデルを用い、上層のレンズ渦に対する下 層の影響を調べた。初期にレンズ渦が西に進むことによって下層には渦対が生成 され、下層にポテンシャル渦度アノマリを従えて上層の渦が南南西にあるいは南 に進むことが分かった。 下層をf平面地衡流で近似し、レンズ渦が下にポテンシャル渦度アノマリを維 持して移動する定常解を求め、その結果、下層の地形性ロスビー波と渦の定常移 動速度とが一致することがわかり、この概念と数値モデルの結果との関係も議論 した。 数値モデルで、初期にレンズ渦の西への自己移流で下層に渦対を作り、その後、 場をf平面にした実験では、レンズの南下速度が遅くなり、地衡流理論で示さ れた定常南下が見られなかった。これに伴って下層の渦位アノマリの中心がレン ズの中心に寄っていく様子が見られたが、トレーサーを用いた実験より数値粘性 による渦位の散逸によるものだと推測された。 さらに時間があれば、数値モデルの結果の渦位アノマリ構造と波の位相速度の関 係の話もする予定である。
-----
連絡先