****************************************************************************************************************
第 45 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:1999年 10月 20日(水) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A
発表者:江口 菜穂 (大循環力学講座 M2)
題 目:UARS MLSデ−タを用いた上部対流圏水蒸気分布の解析
****************************************************************************************************************
UARS MLSデ−タを用いた上部対流圏水蒸気分布の解析 (江口 菜穂) 発表要旨 :
近年大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加に伴う地球温暖化が指摘されているが、CO2 同様、大気の温室効果に多大な影響を与えている水蒸気にもその要因があると示唆され ている(e.g.,Manabe and Wetherald 1967)。 特に上部対流圏の水蒸気量(UTH:Upper Tropospheric Humidity)は、非常に量が少ない にも拘らず地球の温室効果に大きく貢献していると言われている。しかしそれによる温 暖化への影響は、正に効いている(e.g.,Raval andRamanathan 1989)のか負に効いている (e.g.,Lindzen 1990)のか依然明らかにされていない。言い替えるとUTHが変化すること で温暖化が促進されるのか抑制されるのかははっきりとはわかっていない。 その理由として、大気中の水蒸気(WV:Water Vapor)はCO2に比べ時間的にも空間的にも 変動が激しいこと、また上部対流圏における正確な観測が困難なこと、さらに雲や大気 場、放射場との相互作用も考えた定量的な見積もりが難しいことなどが挙げられる。 そこで本研究では人工衛星UARS(Upper Atmosphere Research Satellite)に搭載されて いるMLS(Microwave Limb Sounder)の上部対流圏水蒸気データを用いることにした。MLS はマイクロ波を用いて大気を横から(Limb方向に)観測しているため鉛直分解能(約5km)が 良く、雲の影響が少ないため、今まで困難とされていたUTHを全球規模で見積もることが 可能である。 今回の発表では、このデータによって見積もられた、全球規模のUTHの分布を解析する ために、その取得原理、信頼性を述べ、他の測器から得られたデ−タとの比較、検証に ついて議論したいと思う。 次回の発表者 能登 正幸 (気候モデリング講座D3) (10/25)
-----
連絡先