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第 53 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:1999年 12月 15日(水) 午後 5:00 〜 7:00 (いつもと時間が違います)
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A

発表者:江口 菜穂 (大循環力学講座 M2)
題 目:UARS MLSデ−タを用いた上部対流圏水蒸気分布解析

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UARS MLSデ−タを用いた上部対流圏水蒸気分布解析 (江口 菜穂) 発表要旨 :

 上部対流圏の水蒸気量(UTH: Upper Tropospheric Humidity)は微量であるにも 
 かかわらず、地球大気の温室効果や放射バランスなどの気候要素を考える上で 
 非常に重要であると言われている。しかしその影響はいまだに明らかではない。 
 その理由としては、もっとも一般的なゾンデによる観測からも上部対流圏の水 
 蒸気量は正確に測定できないこと、水蒸気の分布は時間・空間的な変動が激し 
 いためその効果の定量的な見積もりが困難であることなどがあげられる。 
  
 試験的なプロダクトではあるものの、1991年に打ち上げられた人工衛星 UARS 
 (Upper Atmosphere Research Satellite)に搭載されている MLS (Microwave 
 Limb Sounder)は、UTH のデータをグローバルに提供している。この測器はマ 
 イクロ波を利用しいるため雲による影響が少なく、また大気を Limb 方向(横) 
 から観測するので、比較的よい鉛直分解能を持っている。 
  
 本研究では、MLS の水蒸気データ(1991年9月〜1997年6月)を用いて、上部対流 
 圏(416〜146hPa)における水蒸気量分布の時間・空間的な変動特性を解明して 
 いくことを目的とする。今回の発表では、このデータによって見積もられた  
 UTH の月平均分布にもとづいて、熱帯域における UTHの 季節変化、さらには 
 El Nino と関連した長周期変動等について紹介する。 
  
  
 次回の発表者   

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連絡先

伊藤 頼 / 谷口 博 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環 / 気候モデリング講座
mail-to:yori@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2357