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第 137 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2002年 10月 28日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104

発表者:西川 史朗 (大循環力学講座 M2)
題 目:中緯度海洋の定常な風成循環と混合層深度分布に関する数値的研究

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中緯度海洋の定常な風成循環と混合層深度分布に関する数値的研究 (西川 史郎) 発表要旨 :

  
 3次元プリミティブGCMを用いた理想的な中緯度海洋の風成循環 
  の数値実験を行い混合層深度分布を描かせると, "混合層フロント" 
  と呼ばれる非常に顕著で明瞭な構造が見られることが過去の研究 
  から示されている(須股修論 1997; Kubokawa and Inui 1999;  
  Inui et al. 1999). この構造は,より現実的な北大西洋,北太平洋 
  を模したモデル実験やLevitusデータでも見られる 
  (Williams et al. 1995; Xie et al. 2000; Qu et al. 2002). 
   
  現代的な風成循環の理論(Rhines and Young 1982; Luyten et al. 1983 
  など)によれば,大規模内部海洋循環は渦位分布によって決まる. 
  この渦位分布の決定に混合層フロントが非常に重要な影響を与えている 
  いることが Kubokawa and Inui(1999), Kubokawa(1999)で示された.  
  そのメカニズムはより現実的な現象,例えば, 
  ・亜熱帯反流の形成(Kubokawa and Inui 1999; Kubokawa 1999) 
  ・風強化に対する海洋の応答(Inui et al. 1999; Kubokawa and Xie 2002) 
  ・現実のモード水の形成(Xie et al. 2000; Qu et al. 2002) 
  に適用され,有効な説明の1つとなっている. 
   
  しかしながら,混合層フロントそのものがどのように決まっているかは 
  今のところまだ明らかではない. そこで,本研究ではGCMを用いて理想的 
  な数値実験を行い,風成循環の枠組で混合層深度分布がどのように決まって 
  いるかを,特に,混合層フロントの形成に着目して調べた. 
   
  混合層深度分布は,風成循環の枠組では,海面風応力と海面温度外力の 
  2つで決まると考えてよい. 本研究では, 
  1. 現実的なパラメータでの標準実験 
  2. 風応力の強さを変えた実験 
  3. 海面温度外力の強さを変えた実験 
  の3種類の実験を行った. 
   
  今回の発表ではこれらの実験の結果を紹介し,さらに,その結果を踏まえ 
  て簡単な考察を行ったのでそれも合わせて紹介する. 
  

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連絡先

近本 めぐみ @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環力学 / 気候モデリング講座
mail-to:meg@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2298