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第 199 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2008年 11月 4日(火) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 講堂

発表者:小橋川 豊(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:南アジアの対流圏・下部成層圏オゾン変動の研究

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南アジアの対流圏・下部成層圏オゾン変動の研究 (小橋川 豊) 発表要旨 :

対流圏オゾンは工業活動から排出される前駆物質から生じ
る気体で,人体や植物に有害で,温室効果ガスでもあり,現
在インドをはじめとした経済発展著しい南アジアにとっ
て,対流圏オゾンは重要な物質である.

Chakrabarty et al.(1998),Saraf and Beig(2004)では,
オゾンゾンデデータを解析して,インド地域の対流圏オ
ゾンの長期変動を研究し,Newdelhiの対流圏オゾン量
の増加を報告している.しかし,インド地域のオゾンゾ
ンデデータを使用した研究はまだ少なく,高度ごとの季
節変動はわかっておらず,対流圏界面,下部成層圏ま
で範囲を広げた研究はまだない.

本研究では,インドのオゾン変化の特徴を高度,地域,年代ごとに
把握し,その要因を明らかにするために,WOUDC(世界オゾン紫外
線センター)からのインドのオゾンゾンデデータを使用し,主に
Newdelhi,Poona,Trivandrumの三地点について,データのクオ
リティーコントロールを行い解析を行った.

解析の結果,高度ごとに以下の特徴が明らかになった.

・高度900hPaにおいて,三地点ともに,オゾンは1月〜3月に最大,
 夏季に最小となる季節分布.また,ニューデリーでは1970s-198
 0s平均と1990s-2000s平均を比較し,年間を通じて有意な増加.
 
・高度600〜300hPaで春季と秋季にオゾン混合比の増加.
 
・高度200hPa〜100hPaにおいて,Newdelhi,Poonaの1月〜2月にオゾ
 ン混合比の増加.

・高度80hPaにおいてNewdelhiは夏季に最低,冬季〜春季にピー
 クを示すが,Poona・Trivandrumでは夏季にピークを示し,季
 節変化が逆転している.

今後は,各高度ごとに特徴の要因を検討するために,人工衛星データ
・気象データを利用して研究を進めていく方針である.


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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
干場康博
E-mail:h-dragon@ees.hokudai.ac.jp