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第 210 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2010/11/9(火) 15:30 -- 18:00
場 所:環境科学院 D101講堂

発表者:杉立 卓治(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:気候監視のための高層気象観測用水蒸気センサーの開発

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気候監視のための高層気象観測用水蒸気センサーの開発(杉立 卓治) 発表要旨 :

   水蒸気は、日々の天気や気象現象に関わるだけでなく、上部対流圏や下部
  成層圏においては地球の放射エネルギー収支、雲物理、オゾン光化学等に主
  要な役割を果たす。近年、地球温暖化問題への関心が深まり、気候監視が重
  要視され、上部対流圏・成層圏の水蒸気観測が必要とされるようになってき
  た。しかし、その測定技術は満足な状態にあるとは言えず、気候監視の目的
  に満足したセンサーが存在しない。
   そこで本研究では、気候監視に用いる事ができる高層気象観測用水蒸気セ
  ンサーの開発を行う。現在、主に産業用として用いられている鏡面冷却式セ
  ンサーFINEDEW((株)山武)を用いて、地上から下部成層圏までを連続観測で
  きるセンサーの開発を目指す。鏡面冷却方式は、熱力学な原理に基づいた水
  蒸気測定法で、高精度な測定が可能とされている。測定空気に触れた小さな
  鏡を、流す電流量で冷却の程度をコントロールできるペルチェ素子を用いて
  冷却する。冷却された鏡のうえにうっすらと露や霜を付く状態(平衡状態)
  を保つことで大気の露点あるいは霜点温度を計測する。平衡状態を保つため、
  PID制御という自動制御を用いてペルチェ電流量を決定する。高層気象観測に
  おいては、高度とともに環境場(気圧、気温、水蒸気濃度etc)が変化するこ
  とから、ペルチェ電流量を決定するPID制御パラメータを高度に応じて変化さ
  せる必要があると考えられる。現在、気温や気圧を変化させた異なる条件で
  露点温度計測実験を行い、鏡面冷却制御の特徴を調べている。
   今後、これらの実験結果をもとに高層気象観測時における制御方法(制御
  アルゴリズム・PID制御パラメータ)を決定する。また、実際に飛揚する時の
  装置の構成を検討した結果をもとに飛揚モデルを製作する。完成した装置は
  12月に試験飛揚予定である。
   本発表では、これまで行った実験結果を中心に、飛揚時の制御方法や装置
  構成の検討についても発表する。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
干場康博
E-mail:h-dragon@ees.hokudai.ac.jp