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第 215 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2010/11/2(水) 15:00 -- 17:00
場 所:環境科学院 D201講堂

発表者:池川 慎一(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:雲の変形を考慮した金星雲頂における風速の導出方法

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雲の変形を考慮した金星雲頂における風速の導出方法 (池川 慎一) 発表要旨 :

金星大気では, 赤道上の雲頂で100 m/sの強風が存在することが知られている. しかし, その生成メカニズムは未だ解明されていない. 有力
な仮説の一つとして, 子午面循環に着目したギーラシメカニズムがある. この仮説を検証するためには, 運動量輸送を見積もる必要がある. 
そこで, 風速の擾乱成分を求める必要がある. 本研究では, これまでの研究では考慮されていなかった雲の変形を考慮することで, 風速推定
をより確かなものにして, 金星大気大循環の理論を検証できるデータセットを作成する. そこで, 本研究では, 欧州宇宙機関の金星探査機
Venus Expressに搭載されているVenus Monitoring Cameraの紫外画像を用いて, 変形効果を考慮した擾乱成分を導出することを目的とする.
 この手法は以下の手順で行われる. 

1. 時刻のことなる画像に対して, 相互相関を用いて第一推定値(相関係数が最大となる
位置)を算出する. 

2. 雲のパターンが線形に変化すると仮定すると以下の式が得られる.
u = u0 + u1*x + u2*y
v = v0 + v1*x + v2*y 
さらに, 発散成分よりも回転成分の効果が大きいと仮定することで, パラメータを1つ少なくすることができる. ターゲット領域(1枚目の画像中の
雲追跡したい領域)を変形しながら, サーチ領域(2枚目の画像中の雲移動先の候補となる領域)の最大相関係数が最大となるようにパラメータ
を反復改良する. 

手順1は, 従来の研究で行われてきた風速推定導出そのものである. 手順2を実行するためには, 第一推定値が大きく誤らないようにしなければ
ならない。そして, より良い第一推定値が求まれば, 手順2が高速に行えることが期待される. そこで, 本研究では, 相互相関を用いた風速の改良
を行った.  また, 手順2の実装も初めているので, その結果も紹介する.

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
杉立卓治
E-mail:takuji-sugi@ees.hokudai.ac.jp