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第 224 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2013/10/03(水) 16:00 -- 17:00
場 所:環境科学院 D201

発表者:山﨑 哲哉(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:アメダス10分値降水量を用いた東京とその近郊における降水強度の解析

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アメダス10分値降水量を用いた東京とその近郊における降水強度の解析 (山﨑 哲哉) 発表要旨 :


 都市域においては、郊外よりも粗度が大きく植生が少ないため、蒸発が小さく顕熱が大きいと
いった特徴がみられる。このことが要因となり、ヒートアイランド現象や風系の変化などが生じ、
雲や降水の生成に影響を与えると考えられている。日本では、1999年に東京都練馬区で発生した
局地的な豪雨など、都市部を中心とした短期集中型の降水が近年観測されており、それに伴う被
害も生じている。こうした現象は、総観場の影響だけでなく、都市の効果も重要な要素と考えら
れている。そこで、都市部を中心とした短期集中型の降水に焦点を当て、近年の都市周辺におけ
る降水強度や空間分布の特徴を捉え、その発生要因を調べることを目的とする。
 本研究では、Fujibe et al.(2005)で用いられる降水強度の計算手法を基に、関東地方を中
心として解析を行う。Fujibe et al.(2005)では、主にアメダス降水量の4時間値を用いた降水
強度の解析を行っているが、都市域と郊外における降水の違いは見られなかった。これは、4時間
積算降水量では時間スケールが長すぎるため、短期集中型の降水を捉えるには不十分であったこ
とが原因として考えられる。そこで、本研究では短時間の降水現象に焦点を当てるために、主に
アメダス降水量の10分値と1時間値を用いて解析を行う。
 初めに、降水強度の空間分布を月ごとに解析した。10分値や1時間値では、夏季において山岳
部よりも関東の平野部における降水強度が特に高かった。一方、24時間値では季節によらず、
伊豆や千葉県の沿岸部、静岡や北関東の山岳部で降水強度が高かった。つまり、10分値や1時間
値を用いることで、夏季の短時間降水の特徴を捉えることができていると考えられる。また、
総降水時間を解析すると、7~8月の関東の平野部は、一雨あたりの降水量が大きいこともわかった。
 今後は、短期集中的な降水が発生した時の気温や総観場などを解析し、降水強度に影響を与え
た要因を調べていく。また、降水強度のトレンドを解析し、降水形態の変化についても調べていく。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
池川慎一
E-mail:Ishinichi@ees.hokudai.ac.jp