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第 232 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2014/10/14(火) 16:00 -- 17:00
場 所:環境科学院 D102

発表者:瀬﨑 歩美(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:過去100年間の台風とその背景場の解析

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過去100年間の台風とその背景場の解析(瀬﨑 歩美) 発表要旨 :

 日本では、1960年以前に人的被害者1000人を越える台風の接近・上陸
が集中している。もちろん、1961年の台風研究部設置による予報技術の
向上、インフラの整備により近年の被害拡大が防止されていることは間
違いない。しかし、近年の台風だけでなく過去の台風にも着目し研究を
行うことは、観測の希薄な期間における研究事例を増やすという点にお
いて重要であると考えられる。そしてこのような研究を行うためには、
台風そのものの観測データ(ベストトラックデータ)だけでなく、その
期間における気圧配置や前線、水蒸気の分布などの背景場にも目を向け
る必要がある。
 本研究では、予報モデルと同化手法を固定して作成した全球データ、
再解析データを用いる。多くの再解析データは格子間隔約1〜2.5°で
あり、台風を詳細に再現するためには格子間隔が粗い。しかし、台風
とその背景場の様子を調べるという点においては、全球の格子データ
を提供しているという利点を活かすことができる。
 再解析データの中でも、データ提供期間が最も長いものとして20世
紀再解析(20CR)がある。20CRは1871年から2012年の142年間のデー
タを提供しており、このデータ期間ならば室戸台風(1934年)や枕崎
台風(1945年)などの、19世紀前半において日本に顕著な被害を与え
た台風についても調べることができる。
 しかし、これまで20CRの台風の再現性を評価した研究はない。20CR
の検証のため、台風の観測データを同化し台風の再現が良いと考えられ
るJRA-25, JRA-55も用いて解析を行う。1958年以降のデータ重複期
間において、20CRの台風の再現性を確かめたのち、1957年以前の台風
とその背景場の解析を行う。発表では、各再解析データで再現された台
風の発生数やベストトラックデータとの的中率、その他背景場の諸変数
を比較した結果について報告する。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
池川慎一
E-mail:Ishinichi@ees.hokudai.ac.jp