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第 277 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2021/10/13(水) 14:00 -- 15:00

ツール:Zoom

発表者:出口 洋海

題 目:太平洋・インド洋における海面気圧変動に含まれる外部強制成分の評価方法の比較、及びそれを用いた経年スケール変動の長期変調の解析

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太平洋・インド洋における海面気圧変動に含まれる外部強制成分の評価方法の比較、及びそれを用いた経年スケール変動の長期変調の解析(出口 洋海)発表要旨:

地球温暖化は現代の環境問題の大きなテーマである。全球平均気温の上昇傾向の
要因としてここでは二つに分別する。一つは、大気海洋系以外の外部強制力とす
るもの。もう一つは、大気海洋系の自律的に変動するエルニーニョやラニーニャ
現象で代表される内部変動である。上述した外部変動はさらに二つに区分するこ
とができ、それぞれを人為的な外部変動、自然的要因の外部変動と呼ぶものとす
る。人為的な外部変動は化石燃料の燃焼や、土地利用変化から起こる温室効果ガ
スの増加が挙げられる、一方で自然的要因は太陽活動の変動や火山噴火起因の特
定の微粒子の増加等が挙げられる。全球平均気温のうち、外部変動が引き起こす
成分を外部強制成分とする。今回の研究では、海面気圧の長期観測データから、
外部強制成分と内部変動をそれぞれ見積もる方法について考察し、インド洋・太
平洋海域における海面気圧の10年規模の内部変動の特徴を明らかににすることを
目的とする。
過去の研究において提示されたインド洋・太平洋海域での十年規模振動メカニズ
ムは見解が異なっているものが見受けられる。その相違の要因の一つとして、上
述した外部強制成分の取り扱いがそれぞれの研究で異なるため可能性が挙げられ
る。本研究では、気候シミュレーションにおける全球平均気温のマルチモデルア
ンサンブルを用いる解析手法によって、観測値における外部強制成分と内部変動
を識別し、取り出された内部変動に対して多変量解析などを行うことで、インド
洋・太平洋海域の十年規模振動メカニズムの特徴及び、地球温暖化の進行に伴う
に内部変動の長期変調をより適切に考察していくことが目的である。
    

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北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース D1
太田 聡 (Satoshi Ota)
E-mail:ota_satoshi[at]ees.hokudai.ac.jp
([at]を@に置き変えてください)