スクリプス海洋研究所留学記

小林 慈英 (博士課程1年 / 滞在時

私は日本学生支援機構(JASSO)の海外派遣プログラムで10月中旬から1か月間、スクリプス海洋研究所に滞在し、Bill Young教授の下で研究を行い、学内ではセミナー発表を行いました。さらに、PICES国際会議にて口頭発表も行いました。

スクリプス海洋研究所での研究、セミナーと国際会議での発表

Scrippsにて Bill Young教授と議論後に一枚
セミナー発表のあとのハロウィンパーティ

私がこのプログラムを利用して海外留学をするのは二回目になります。 今年度は、昨年度から引き続き行っている海洋渦の動力学に関する研究をさらに深化させ、論文を書く一歩手前という時期でのスクリプス留学となりました。 論文執筆の前にスクリプス海洋研究所の研究者の方々から多くの意見をいただくことができました。 スクリプス海洋研究所では現在行っている研究に関するディスカッションを中心に、 研究を進めたり、セミナーを聴講したりしました。 また、自分の研究に関するセミナー講演も行いました。 英語で、口頭発表1時間+質疑応答30分という長丁場のセミナー発表でした。 昨年度も英語での長時間セミナーを経験していたこともあり、 緊張することなく、楽しみながら講演を行うことができました。 素晴らしいことに、スクリプス海洋研究所には理論物理に精通している研究者や学生が非常に多く、普段はなかなかとんでこない意見や研究に関する質問もされました。 そのおかげで、非常に白熱した楽しい議論を行うことができ、多くの学びを得ることができました。

セミナーだけでなく、滞在中には受け入れ先指導教官のBill Young教授、Rick Salmon博士、Shang-Ping Xie教授らそして東京海洋大学の小橋史明准教授には大変お世話になりました。 また、留学と同時期にあったPICES国際会議においても研究発表を行いました。 始めての国際会議参加に加え、いきなりの口頭発表だったのですが、 既に英語での発表の場数をこなしているので質疑応答も含め、緊張することもありませんでした。 昨年度は初めての英語でのセミナー発表にかなり不安を感じていましたが、今年は全く緊張しませんでした。 研究発表における語学も慣れなんだなと感じた次第です。 研究所では、議論中心の生活を送りながら研究を行いました。 また、スクリプスで開催されるセミナーに出席し、自分のテーマ以外のことも幅広く学ぶという生活でした。 とても充実した学びと体験を得ることができました。

サンディエゴでの生活

美しい夕暮れ時のスクリプス
海の上を飛んだ日もありました

今回の留学は昨年に引き続き2回目なので何の問題もなく順調に・・・ と思いきや、携帯電話会社に不良品をつかまされたり、宿泊先で大家さんの家具を焦がしちゃうなどのトラブルもありました(笑)。 トラブルにあってひやひやしたときの英会話は難しかったですね。 宿泊したエリアでは、毎日海と夕日が見られました。サンディエゴの海は本当に綺麗です。 サーフィンをする人にあふれており、野生のアシカと人が共生しているスポットもありました。

大学にいるときは食堂を利用し、平日の夜は自炊。時々パーティや飲み会に出たり、外食したりして生きていました。アメリカにいると太るイメージですが、自炊していたので特に太ることもなく暮らしていました。 サンディエゴはメキシコの国境付近にあるため、タコスの料理店がたくさんありました。 サンディエゴの人たちはタコスが大好きですね(笑)。

休日のアクティビティとしては、動物園や大学に付属する水族館に行ったりしました。 最終日には僕の大好きなパラグライダーをしに行きました。大学から15分歩けば空を飛ぶことができます。 観光地はいろんな国からやって来たお客さんも多く、賑わっておりました。 ビッグイベントとしてはアメリカの大統領総選挙ですね。 ちょうどPICESでの国際会議の最中に大統領がトランプに決まりました。 サンディエゴは移民が多く、富裕層や教養人に満ちているエリアなので人々の落胆ぶりはすさまじかったです。 銃撃事件などもありましたし、大学では次の日からデモやスピーチが行われていました。 なかなか得難い体験をすることができました。

一人でお出かけした際には、色々な人に話しかけて英会話を楽しんでいました。 急に話しかけてもみんな親切で逆に会話をなかなか打ち切れなくなったりも・・・笑 なんでサンディエゴにいるのかといったプライベートな話題から、サンディエゴで行った方がいい場所に至るまでいろんなことを教えてくれました。 海が綺麗で陽気で過ごしやすいサンディエゴ、また行ってみたいと思いました。

最後に

今回の旅は二度目でしたが、去年同様、研究やディスカッションを楽しみ、世界の第一線の研究者達と多くの交流を行うことができました。良い経験をさせていただき、指導教官の久保川先生と留学の手続きの多くを行っていただいた谷本先生や秘書の方々に感謝いたします。

このプログラムでは1か月以上も自分の好きな研究の議論をして、セミナーを聞いたり発表したり、そのうえ観光までできるわけです。ありがたい限りです。 日本にいては味わえない体験を数多く自分の血肉にできます。

僕は今回タイミングに恵まれ、二回目の留学でしたが正直何回でも行きたいですね。 修士の学生さん、とても素敵な時間を過ごせるので次年度はぜひ留学してみてください!

2017年3月